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横浜地方裁判所 平成3年(ワ)2066号 判決

主文

一  被告は原告に対し、金三四四〇万二三〇八円及びこれに対する平成三年八月一七日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

三  この判決は仮に執行することができる。

事実および理由

原告は、主文第一、二項と同旨の判決並びに仮執行宣言を求め、別紙のとおり請求原因を述べた。

被告は、適式の呼出を受けながら、本件口頭弁論期日に出頭しないし、答弁書その他の準備書面も提出しないから、請求原因事実を明らかに争わないものと認め、これを自白したものとみなす。

右の事実によれば、原告の本訴請求は理由がある(なお本件訴状送達の日の翌日が平成三年八月一七日であることは記録上明らかである。)から認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を、仮執行宣言につき同法第一九六条を各適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 小山邦和)

別紙 請求の原因

一、(当事者)

原告は、養命酒等の製造販売を主たる目的とする株式会社であり、その株式は東京及び名古屋証券取引所第一部に上場されている。

二、(主要株主)

被告は、遅くとも平成元年九月二六日迄に、同日現在の原告の発行済み株式総数三三〇〇万株の一〇〇分の一〇以上の株式を有するに至り、もって、証券取引法一八八条一項所定の「主要株主」となった。

三、(原告株の取引及び利益の発生)

被告は、原告の主要株主となったのち次の通り原告株式の短期の買い付け及び売付けをして、利益を得た。

1、平成元年九月二七日から平成元年一〇月三〇日までの間に別表の買受欄記載の各単価、数量、金額、売買手数料の買付けをし、平成元年九月二九日から平成元年一〇月三一日までの間に同表売付欄記載の各単価、数量、金額、売買手数料、取引税額の売付けをして、同表の当該利益欄記載の各利益を得た。

その合計額は、五四九五万四三〇八円である。

2、前記1記載の利益額は、「会社の役員及び主要株主の当該会社の株券等の売買に関する省令(昭和六三年大蔵省令四〇号)」第六条所定の方法により算定したものである。

3、前記の通り、主要株主たる被告は、自己の計算において原告株式の買付け及び売付けをしたことにより、証券取引法第一八九条所定の「利益」を得たものである。

尚、被告の前記買付け及び売付けにつき、大蔵大臣は、被告提出にかかる同法第一八八条所定の売買報告書に基づき、同法第一八九条四項所定の「利益関係書類」の写しを被告に送付したが、被告はこれを受領した日から二〇日以内に同条五項所定の申立をしなかった。

よって、大蔵大臣は、同条四項の規定に基づき、原告に当該利益関係書類の写しを送付したものである。

四、(相殺)

原告は、被告に対し、平成三年六月二八日に到達した書面により、前項1の利益金の提供請求権を自動債権とし、被告が原告株主として有する第七三期(平成二年四月一日から平成三年三月三一日迄)の配当金二〇五五万二〇〇〇円の請求権を受動債権として、対当額で相殺した。

五、(結論)

よって、原告は被告に対し、証券取引法一八九条一項に基づき、被告が原告株取引によって得た利益の右相殺後の残額金三四四〇万二三〇八円、及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から前記支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

別表《略》

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